“感動体験”を提供できる組織づくり / 企業研修を実施しました
先日、コンクリート関連機械工具の総合メーカー 株式会社シブヤ さまの、事業所長の方々向けに、研修・ワークショップを実施させていただきました。テーマは、「“感動体験”を提供できる組織づくり」です。本記事では、これからの時代において大切な、感動体験≒顧客体験を高めていく取り組みの重要性について、情報をお伝えします。
顧客体験とは何か?/なぜ取り組む企業が増えているのか?
消費者は機能や性能を比較して、少しでも機能や性能が高く、少しでも安い商品を選ぶ傾向があります。ただ近年、商品の品質はどの企業も上がってきており、コモディティ化してしまうことで、価格競争になるケースが多くあります。
顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス:以下 CX)は、機能や性能という合理的な価値だけではなく、心理的・感情的な価値を提供することを指します。つまりCXは、商品を購入する過程・利用する過程・その後のサポートにおける価値 と定義できます。
近年、CX推進部署を立ち上げ、社内でCXを推進する文化を作る企業も増えてきています。この活動により、選ばれる会社を目指しています。これはつまり、顧客をファンに変える取り組みです。会社としても、ファンになっていただくことで、口コミや紹介数が増えるなど、様々なメリットがあります。新規顧客を集める金額的、時間的コストを企業として加味すると、非常に効果が高いと言えます。
CXをはかる指標
CXを推進する重要性は理解できたと思いますが、顧客の感情を知るための指標がなければ、会社として評価をすることができません。そのため、「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」を活用します。これは、顧客への質問・アンケートとその回答を分析する手法です。顧客への質問は基本、1つです。
「あなたはこの商品を、親しい友人・知人にどの程度おすすめしたいと思いますか?」
この質問に対して、顧客が0から10までの選択肢から答えを選びます。NPSでは、0から6を選んだ人を「批判者」、7と8を選んだ人を「中立者」、9と10を選んだ人を「推奨者」と呼びます。そして、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSとなります。この数値がCXをはかる、1つの指針です。
NPSはあくまでも、現在の顧客が感じている信頼度を数値化したものにすぎません。CX推進のプロジェクトを立ち上げたならば、定期的に本数値をチェックし、どの程度高めていけるかに集中をする必要があります。
NPSを高めるために、実施すべき対策
NPSを高め、会社として従業員の意識を変えていくために、やるべきことは3つあります。それは、“見える化”・“自分ごと化”・“仕組み化”です。
見える化とは、顧客がファンに変わるフローを洗い出しし、どのような行動をすれば、顧客に感動していただけるか考えていく作業です。このCXを洗い出しに用いるのが、カスタマージャーニーマップを作ることです。このマップを作る作業を、社員の方と一緒に実施すれば、一連の業務の流れを共有し、どのようなことをすれば効果的かイメージができるようになります。
次に実施すべきなのが、自分ごと化です。会社がCXを推進しようと言っても、なかなか従業員がすぐに意識することはありません。従業員の方に意識をしてもらうようにするためには、定期的にCX体験のシェアをすることが大切です。例えば、「どうやったら、お客様に感動をしてもらえるか?」「これまで、お客様に感動してもらえた経験はあるか?」など、チーム内で共有することかが重要です。
そして最後にやるべきなのが、仕組み化です。会社として、従業員の方に意識をしてもらい、CX推進の活動を活性化するために、評価する仕組みも用意するとベストです。例えば、表彰する制度や景品などを用意すると、モチベーションもあがります。
会社として、上記のような対策を行うことで、CX推進する風土の醸成が行うことができ、NPSを高めていくことができるようになります。顧客をファンに変え、会社・チームを強くしたいと考えている方は、ぜひ上記を参考にしてみてはいかがでしょうか?
■ 引用文献 / 参考書籍
・CX(カスタマー・エクスペリエンス)戦略―顧客の心とつながる経験価値経営
・実践的カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント
・はじめてのカスタマージャーニーマップワークショップ
「顧客視点」で考えるビジネスの課題と可能性
株式会社BPL代表取締役、2022年より地域力創造アドバイザー(総務省)。